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あなどれない頭痛
2021.03.24ブログが新しくなりました。
今日は昨年末にも書きました特殊な頭痛についてのリマインドです。
頭痛はほとんどの患者さんが偏頭痛や緊張性頭痛という機能性頭痛、命に関わらない頭痛です。
しかし、頭痛外来を行っていると見逃してはならない危険な頭痛が潜んでいます。
見逃してはならない代表的な頭痛は「くも膜下出血」。これは脳動脈瘤破裂で起こることが多いのですが、今回のお話は「くも膜下出血」ではありません。
「椎骨動脈解離」という病気です。日本人に多く、首の激しい運動や刺激によって生じます。
椎骨動脈解離は後方の成分(後ろ1/3に流布する)である椎骨動脈の血管壁が一部剥がれる(剥離する)ことによって生じます。
発症は3パターン。「頭痛のみ」「脳梗塞」「くも膜下出血」です。
椎骨動脈解離で「頭痛のみ」で発症した方は大変幸運(不幸中の幸いという意味で)です。重症例、通常例では「脳幹梗塞」あるいは「くも膜下出血」で発症してしまうからです。
「脳幹梗塞」で発症した場合は、脳幹部の脳梗塞の影響で特徴的な症状(ワーレンベルグ症候群)で、温痛覚障害、失調、嚥下障害などを伴います。片方の上下肢の温痛覚障害により暖かい、冷たいが分からなくなり、暖かい湯船に入ると強い冷感を感じたりします。また、失調と言って小脳症状の一部なのですが、ふらつきによりまっすぐ歩けなかったりします。また、飲み込みが悪くなり誤嚥を起こしてしまいます。
「くも膜下出血」で発症した場合は、70%以上はお亡くなりになります。24時間以内の再出血が多く超緊急を要します。また、出血により大きな後遺症を残します。(くも膜下出血は94%が脳動脈瘤。残りの数パーセントがこの血管解離など、動脈瘤以外が原因なのです)解離した血管は2ー3ヶ月で自然治癒します。初回「頭痛のみ」で発症した患者さんが他の発症した場合と比して幸運という所以はここにあり、何とか2−3ヶ月悪化しなければもとに戻るのです。
黄色い矢印部分が解離を起こして血管が膨らんでいます。MRI検査にて。
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