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学会報告 ~認知症診療は「早期診断・早期治療」の新時代へ~
2026.06.28こんにちは。院長のkです。台風に負けず、鹿児島県で開催された脳神経外科認知症学会に出席しました。当院での認知症診療の取り組み、18例のドナネマブの導入報告なども行いました。
近年、認知症診療は大きな転換期を迎えています。片頭痛と同じ、大きな治療転換期です。
これまでは「認知症になってから診断・治療する」ことが中心でしたが、現在は認知症になる前の段階から病気を見つけ、進行を遅らせる時代へと変わりつつあります。
アルツハイマー病は症状が出る前から始まっています。アルツハイマー病はまさにジェットコースター。ジェットコースタに乗り、最上点まで上がるまでがMCI(軽度認知障害)、てっぺんで少し水平移動するときが初期、そして下降の時に一気に悪くなるのが中期から末期です。

アルツハイマー病では、脳の中にアミロイドβというたんぱく質が蓄積し、その後タウたんぱくの異常が起こることで、神経細胞が徐々に障害されます。この変化は、物忘れなどの症状が現れる10年以上前から始まっていることが分かっています。つまり、認知症を意識しないまさに今この時かもしれないと言えるのです。私も自分自身が怖くなります。
そのため、「症状が出てから治療する」のではなく、「早い段階で見つける」ことが非常に重要になっています。
MCI(軽度認知障害)は認知症を防ぐチャンスです。MCIは本人が気づきます。あれ?自分最近おかしいなと。認知症は家族や親しい仲間が気づきます。この人少し認知症っぽいなと。怒りっぽくもなるし、歩行も遅くなるしなど。
今回の学会でも繰り返し強調されていたのが、MCI(軽度認知障害)の重要性です。
MCI(軽度認知障害)は認知症ではありません。
日常生活はほぼ自立しているものの、記憶力などに軽度の低下がみられる状態です。
30点満点のMMSE試験で23点以下は認知症ですが、24点から29点がMCIの可能性が有ります。しかし、MCIと診断された方すべてが認知症になるわけではありません。

研究では、MCIと診断された100人の経過を見ると、
約20人は改善
約60人は状態を維持
約20人が認知症へ進行すると報告されています。
つまり、約8割の方はすぐに認知症へ進行するわけではなく、適切な診断と対応によって状態を維持したり、改善が期待できる可能性があります。
なんと、近い将来血液検査で分かる時代へ!
今回の学会では、血液バイオマーカーの進歩も大きな話題となりました。
現在はアミロイドPETや髄液検査が必要ですが、近未来ではp-tau217などの血液検査によって、アルツハイマー病を高い精度で評価できる可能性が示されています。
患者さんへの負担が少なく、より早期の診断につながることが期待されています。
新しい治療薬が早期診断の価値を高めています
レケンビ®(レカネマブ)やケサンラ®(ドナネマブ)といった疾患修飾療法は、アルツハイマー病の進行を遅らせることを目的とした新しい治療です。
しかし、これらの治療は病気が進行してからではなく、MCIや軽度アルツハイマー病の段階で開始することが重要とされています。だからこそ、「まだ認知症ではないから様子を見よう」ではなく、「今の状態を正しく知る」ことがこれまで以上に大切になっています。
胃がんになる前に胃カメラをするのと同じですね。

【当院のMCI外来】
当院では、物忘れが気になる患者さんに対して、
認知機能検査
MRIによる脳評価
抗アミロイド抗体治療の適応評価など、一人ひとりに合わせた診療を行っています。
しかし、「物忘れ外来」と「MCI外来」は似て非なるもののです。

まずは現在の脳の状態を知ることが、将来への安心につながります。
最後に
認知症診療は今、大きく進歩しています。
当院で最も多く診療している頭痛専門外来も大きく進歩しています。
共通点は、抗体製剤、つまり予防として病態に直接作用する注射製剤の登場です!
今回の学会を通して改めて感じたのは、「認知症になってから治療する時代」から、「認知症になる前に見つけて、進行を防ぐ時代」へと変わってきているということです。
当院では、これからも最新の医学的知見を積極的に取り入れ、地域の皆さまへ質の高い認知症診療をご提供できるよう努めてまいります。
物忘れが気になる方、ご家族の変化が気になる方は、お気軽にMCI外来へご相談ください。

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