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起立性調節障害
2024.07.17こんにちは。院長のKです。今は本日昼のランチョンセミナーのweb配信のため待機しています。片頭痛とMOHの治療を考えると題して、医療法人社団優仁会 鈴木脳神経病院の井上 悟先生にご講演いただき、その座長を努めます。片頭痛と精神疾患への影響など、精神疾患の併存症が多い片頭痛診療医としては大変楽しみにしています。
さて、先日、日本テレビNEWS NNNにて起立性調節障害の特集がありました(下記サイト、クリックして視聴できます)
https://news.yahoo.co.jp/articles/75c64bccb956a2ee1c5b91addb19f0bf09da8ed8
頭痛診療は小児思春期の頭痛も多く扱い、その中に起立性調節障害の児童生徒が少なからずおります。起立性調節障害という概念そのものが曖昧であり、診断基準に含まれる11項目の症状のうち1項目に「頭痛」があります。その頭痛がどんな頭痛かは書かれていないため、非常に曖昧で、そのため頭痛国際分類には「起立性調節障害に伴う頭痛」というものは存在しません。
起立性調節障害に伴う頭痛は原因でもなく結果でもないのです。つまり、本人にとって頭痛が本当の困りごと?では無い可能性が高いのです。
まずは、その理解から進めてゆく必要があります。
そして、この報道でもあるように、起立性調節障害は「朝が起きられない病気」と例えられます。一度、起立性調節障害ですねと診断されると、「起立性調節障害=朝が起きられない」というレッテルがずっと付き纏い、本人も家族もそのことに縛られます。
何かがきっかけで、学校を休み、自宅にいて運動量が少ないので水分摂取も減る、水分摂取が減るから循環動態が安定しない、日中の活動量が少ないから夜も眠れない。
そういう事がきっかけで、朝に覚醒が悪い、循環動態が悪くて頭が働かない、だから起きれないから学校を休む・・・と繰り返す事で、睡眠相後退現象が生じてきます。最終的には朝は「起きなくても良いや」という心理状態にもなり「覚醒」「循環」「心理」が負の連鎖に陥り慢性化し不登校となります。簡単に言うと、この現象が「起立性調節障害」です。つまり、起立性調節障害は原因なのか?、あるいは結果なのか?、分からないと思われます。
起立性調節障害のサブタイプに体位性頻脈症候群POTSというものがあります。海外ではしばしば感染症の後に発症すると言われますが、日本ではあまりその認識が有りません。
ただ、周囲を見ていて、コロナ感染症をきっかけに不登校になってしまった子供たちが多いのも事実です。何らかの因果関係がありそうです。
起立性調節障害は心身症であり、メンタルヘルスではありません。精神科や心療内科受診と異なり「頭痛を診てもらいに行く」などの受診しやすさ(起立性調節障害に悩むお子様やご両親にとって)のハードルが下がるのではないかと思っています。頭痛外来、つまり内科小児科みたいな一般の診療科だからこそ通院しやすいのです。心身症であるため体の病気なので、子供や親にとって受診しやすい利点が「頭痛外来」にはあります。
以下、2024年4月14日に私が養護教員向けに講演した「小児思春期外来」から起立性調節障害の一部を抜粋。
https://youtu.be/WCdHYHxdZfU?si=SrbqjCZwHCd7Yc8N
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