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Cristal clear
2024.04.28おはようございます。院長のKです。
本日は雲の少ない晴天で大変気持ちの良い朝です。しかし、これは僕が片頭痛体質では無いからかもしれません。
片頭痛の患者さんはにとっては本日のように晴れていても、「明日以降天気が少し下り坂になる」、「長期連休に入りストレスが解放された」、「休みだから寝過ぎた」、「人によっては月経周期にぶつかる」など、回避可能、不可能の誘発因子が重なってしまうと頭痛が誘発されかねません。
僕が友人に依頼して描いてくれた、片頭痛の誘発因子を的確に表現したシェーマです。このように片頭痛の誘発は回避できるもの、でいないもの含めたくさんあります。
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先週から診療の合間に3つの頭痛研究会をこなし、あっという間の2週間でした。1つ目は「小児・思春期の頭痛」で後日動画をアップ致します。全国の小中高校の養護教員および障害者施設スタッフ向けの講演です。
2つ目、3つ目の研究会は片頭痛の治療に関するup to dateです。
エムガルティ3周年記念研究会(片頭痛治療の`これまで`と`これから`)では予約困難な頭痛の第一人者である清水 俊彦先生(汐留シティセンターセントラルクリニック)、赫 寛雄先生(東京医科大学 神経内科講座主任教授)、滝沢 翼先生(慶應大学内科学神経専任講師)と共に講演、ディスカッションを行いました。CGRP注射製剤をいかに患者さんに知ってもらい、導入できるか。有効性や安全性は申し分無い結果が報告されていても、経済面や種々の治療導入時の壁があるのも事実です。日本ではCGRP注射製剤の適正使用として、最初は内服による片頭痛予防、抵抗例にCGRP注射製剤を使用するとなっています。一方でアメリカではCGRP注射製剤が第一選択になっているのも現状です。
本日のような晴天はCristal clear(クリスタルクリアー)な状態ですが、片頭痛の患者さんは晴れてはいるもののスッキリしない(次の頭痛発作の2日前から始まる予兆を感じたり)Unclear(アンクリアー)な状態にいる事が多いです。片頭痛発作時は片頭痛をMigraineと言いますので雨日(Migraine)なのです。
CGRP注射製剤の登場によりCristal clearを得る事が、内服薬で予防するよりも得られます。そればかりか、薬剤使用過多(薬物乱用性頭痛 MOH)を解消できるのです。
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最後の3つ目の研究会は、もう一つの抗CGRP注射のアジョビの研究会です。この研究会では柴田 靖先生(水戸協同病院 脳神経外科部長)、喜多村 孝幸先生(五反田リハビリテーション副院長)、石井 翔先生(九段下だいだいクリニック院長)、飯ヶ谷 美峰先生(北里大学北里研究所病院 脳神経内科部長)、山王 直子先生(品川ストリングスクリニック院長)と共に行いました。
柴田先生の基調講演では私も常日頃の日常診療で疑問であった、片頭痛は本当にCGRP関連片頭痛だけなのか?に対し、いくつかのサブタイプの片頭痛の可能性、特にPACAP関連片頭痛やVIP関連片頭痛の考察など今後の治療の展望となる講演でした。
また、片頭痛の治療は「インフォームドコンセント説明と同意」ではなく、医師と患者の共通目標を持ったShered Decision Making(SDM共同意思決定)の重要性、予防治療の入り口と出口戦略、コメディカルスタッフの関わり方など頭痛のチーム医療の重要性について小回りのきく診療所と大組織の大学病院とでの異なる環境下でのあり方をディスカッションしました。
研究会で共通するのは、現在の片頭痛治療には抗CGRP製剤が欠かせない、一方で薬価やnon responder(反応が乏しい)患者さんも一定数存在することの課題をどのように切り抜けてゆくか、今後の診療につなげていきます。
みなさま、良い休日を!!
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